高い理由は生地だけではない!?高額オーダースーツの裏側

結論から申しますと高い生地を購入しても質の高い洋服はできません!!

初めまして、こんにちはダルマです。

元最高級オーダースーツ工房にて職人をしており、現在独立してオーダースーツを承っています。

冒頭からズバッと失礼しました。
しかし、どこにも書いていない今回の内容をお伝えしてこれからオーダースーツを購入される方が失敗をしないようになぜオーダースーツの値段格差があるのか、ここを見て注文すると間違いない点などお話させていただきます。

オーダースーツを購入しようと思った際、気になった方も多い価格差
よく一般で言われる理由としては生地が上質だからだと言います。

これは決して間違いではありませんが、一部に過ぎません。
主に生地以外の点では目次の三つの事柄が大事になります。

・採寸、裁断技術

採寸とはお客様の身体のあらゆる寸法を測る工程になります。

実はこの採寸はどのお店でも同じと思っている方も少なくないのですが、お店によって異なりなぜお店によって採寸が変わるのかと申しますと、そもそも製図法が全く異なるからになります。

ここでは説明をすると長くなりますので別の記事に記載するとして割愛しますが、ざっくりと説明いたします。

採寸には大きく分けて長寸式と短寸式と言うものがあります。

長寸式とは身体を採寸する際、細かく採寸するのではなく大筋となる寸法を測り、胸寸法(バスト寸法)をベースに製図を作ります。 
胸寸法をベースにと言うのは製図をする時に胸まわりや首周り、腕を通す脇周りの幅etc..
わかりやすい点ではこのようになりそういった箇所の寸法を胸周りの寸法を基準に洋服のバランスをとりながら製図をすることになります。                                           

短寸式は想像がつくかもしれませんが身体を細かく測り製図をすることになります。
先ほどのような胸寸法を基準にしているというものはないので初心者の方が独学で使うとバランスの取れない服となってしまう可能性があります。
製図を扱う方の経験や風合いが色濃く出やすい特徴などございます。

以上簡単ではありますが、大きく分けた二つをご説明させていただきました。
この二つのどちらが優れているという事はなく、大事なことは製図よりもどれほど人体の構造を理解していて、その人体の特徴に対し適切な補正を製図に反映させ美しく見せることができるかというセンスになります。
この他にも製図法は製図する人の数だけ種類があると言っても過言ではないほど、大小様々な違いがあります。
洋服製図のシステムが初めて公表されたのは1818年ロンドンと古くから現代にも続き改良など人の手が加えられ続けているからです。


ここで抑えておきたい事としては製図に愛と自信を持ち仕立てをしている方なら自分の製図はここが良いんだ!と言うポイントをいくつか持っている物だと思います。
間違いなく質のあるオーダーをする意味と、そういった世界を少し学びがてら質問してみると良いですね。

採寸、裁断技術は少し学べば素人の方真似を出来ますが、ここまで深掘り知識、技術を会得するにはそれ相当の愛情が必要になりそこに本質の価値が生まれるため金額が変わってきます。
(技術者なら聞かれると嬉しいはずです・・)

・構築的な芯造り

スーツに芯とは!?となる方もいるかもしれません。
実はスーツの中には下の左写真のような芯が入っているのです。

実際どこに入っているのかと申しますと、全体ではなく右の写真の洋服の前身部分に入っております。
(右の写真は前身肩部分の写真になります)

このような芯を中に入れることで洋服に張りを持たせ型崩れを防いでくれたりしますが、もう少し詳しく説明すると人の肩周りの構造や胸の立体感、チェストからウエスト、ヒップににかけての綺麗なドレープを演出するためにあります。

また、この芯も作り方が古くから色々とあり、それと合わせて素材も様々です。
下の写真を見てわかるように二枚の異なった芯が重なっておりますが、これにも一つ一つ理由があり
この上から部分的に追加の芯を加えたりなど創意工夫をし、お客様の体型とお選びいただいた生地、ご希望されるスタイルに合わせて素材や作りを変えていきます。

ここまで読んでいただくとわかるようにライン工場のような効率化された縫製ではなかなかここまで手を加えることも難しく、それだけではなく技術も合わせ持った職人が必要になります。

ここで抑えておきたいポイントとしましては、技術的な専門知識は難しいのでオーダーをされる際にこの生地、スタイル、自分の体型にはどのような芯を使いますか?と聞いてみると良いかもしれないですね。
芯からこだわって仕立てするお店は良質なところが多く、やはり愛がありますね。
(そのため金額もイージー、パターンオーダーとも異なります)

・職人の技術量

基本職人の方々は多くの着数を仕立て、腕を磨いてきたプロなので既制服を作ったことのある方でも驚くほど綺麗に仕立てます。
ですが、実のところ人の手で縫い仕立てをすると言うことは人によって得意とする部分が変わってきます。
例えば、この職人は肩周りの仕立てが他の方と比べて特に上手 など袖を縫い合わせることや襟をスッキリ立体感のあるように仕立てる事が上手 などといったように職人によってきます

また、最近ではゼニア、ロロピアーナといったような繊細な生地が増えてきて、そのような繊細な生地を扱うことが得意な職人やがっしりとした重たい生地を扱う事が得意な方などいます。
同じ仕立てをするにしても縫製する方の性格なども服に出てくるものでそういった醍醐味を慣れてくると味わえると思います。

ここで抑えておきたいポイントとしては、オーダーする際に私のスーツはどういった職人が仕立てますか?と聞いてみると良いですね。
またまた愛という言葉を使いますが、やはりこだわりがあるお店なら誰が縫っても良いなんて言うことはありませんのでこういう職人が縫いますと答えてくれるのではないでしょうか。

・まとめ

昨今オーダースーツのお店が増えてきてどう選べば良いのかと気にする方も多いと思いますが、オブラートに包んで申しますと良質ではないお店が多いように見受けられますので
私個人の意見としては一生物のスーツをオーダーするならこの記事で書いたように簡単な数万円のオーダーをするのではなく、お金を貯めて大切に着用し孫の代までお直しをしながら着てもらい、語り継がれるような洋服を仕立てることが一番の良いお買い物だと確信しております。

拙い文章ではありますが、最後まで読んでいただきありがとうございました!!
オーダースーツを長く大切に綺麗に着続けるために質を保つ重要アイテム
おすすめハンガーを添付しておりますので参考にしていただければと思います。


良いオーダーができることお祈りしております。


コメント

タイトルとURLをコピーしました